
PPAP対策というと、「パスワード付きZIPをやめる」「代替ツールを導入する」といった対応を思い浮かべる企業が多いかもしれません。しかし実際には、PPAPを廃止しただけでは、情報漏えいリスクは十分に下がらないケースも少なくありません。
なぜなら、PPAPは単なる送信手段ではなく、 「誰でも送れる」「記録が残らない」「後から取り消せない」といった従来のファイル送信設計そのものを象徴しているからです。
本質的なPPAP対策とは、ファイルを“どう送るか”ではなく、“どう管理し、どう統制するか”を見直すことにあります。
本記事ではPPAP対策の具体的な方法と必要性についてわかりやすく解説します。
PPAP対策で見落とされがちな3つの実務課題
PAP対策を考える中で前提となるPPAP方式での実務的な課題について解説します。
① 誰が・何を・どこに送ったのか把握できない
PPAP運用では、送信履歴やダウンロード履歴が残りません。これは、事故発生時に「原因を特定できない」「説明責任を果たせない」という重大な問題につながります。
② 誤送信時に“止められない”
PPAPでは、一度送ってしまったファイルを後から無効化する手段がありません。対策として本当に必要なのは、「送信前の注意喚起」ではなく、送信後でも被害を食い止められる仕組みです。
③ 個人任せの運用になりがち
PPAPは運用が簡単な分、
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・社員ごとにやり方が違う
・ルールが徹底されない
・情報システム部門が把握できない
という“属人化”を招きやすい点も大きな課題です。
「脱PPAP」が失敗する企業に共通する特徴
PPAP対策として新しいツールを導入したにもかかわらず、結局現場で使われなくなってしまう企業も少なくありません。
その多くは、
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・送信方法だけを置き換えている
・管理・承認・ログの設計がされていない
・例外運用(どうしてもメールで送りたい等)が放置されている
といった状態に陥っています。
PPAP対策は“セキュリティ製品選定”ではなく、“業務設計の見直し”であるという視点が不可欠です。
PPAP対策の本質は「ファイル送信を管理下に置くこと」
実効性のあるPPAP対策を実現するためには、次の要素が欠かせません。
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・ファイルをアップロード・共有する場所を一元化する
・アクセス権限をユーザー・役割単位で制御する
・操作ログを残し、後から追跡できるようにする
・誤送信時に共有を即時無効化できる
・承認フローなどで“送る前”に止められる設計を持つ
これらは、単なるファイル転送ツールでは実現できず、法人向けの管理機能を備えたサービスが前提となります。
PPAP廃止によって得られる4つのメリット
情報漏えいリスクの大幅軽減
PPAPを廃止し、より安全なファイル共有方法に切り替えることで、マルウェア感染や不正アクセスによる情報漏えいのリスクを大幅に軽減できます。特に、最新のセキュリティ対策が施されたクラウドストレージサービスを利用すれば、通信経路や保存データの暗号化、アクセス制御、操作ログの記録など、多層的な防御によって重要な情報を保護することが可能です。
ヒューマンエラーの防止
PPAPは、パスワードの送り間違いといったヒューマンエラーを誘発しやすい仕組みです。代替手段として、ファイル送信時に自動で生成されるURLを共有する方法などを採用すれば、このような人為的なミスを防ぐことができます。また、多くのサービスには誤送信防止機能が搭載されており、送信前に宛先やファイルの内容を再確認するプロセスを挟むことで、うっかりミスによる情報漏えいを未然に防ぎます。
社内外の業務効率アップ
PPAPは、送信側にも受信側にも多くの手間を強いる非効率な方法です。ファイルを圧縮してパスワードを設定し、2通のメールを送るという送信側の作業も、受信側がパスワードを探して入力し、ファイルを解凍するという作業も、すべてが時間と労力の無駄につながります。PPAPを廃止することで、これらの煩雑な作業から解放され、社内外のコミュニケーションがスムーズになり、企業全体の生産性向上に貢献します。
社外信頼性の向上
セキュリティ対策への取り組みは、企業の信頼性を測る重要な指標の一つです。PPAPのリスクが広く知られるようになった現在、PPAPを使い続けることは、セキュリティ意識の低い企業であるという印象を取引先に与えかねません。脱PPAPを宣言し、安全なファイル共有の仕組みを導入することで、顧客や取引先からの信頼を高め、ビジネスを有利に進めることができます。
PPAP対策として「クラウド活用」によるファイル共有の新しい選択肢
S/MIMEやPGPといったメール暗号化方式
S/MIMEやPGPは、メールの本文や添付ファイルを暗号化するための技術です。送信者と受信者が互いに電子証明書を交換し、設定を行うことで、メールの内容を第三者から保護することができます。PPAPとは異なり、メールの通信経路自体を暗号化するため、より高いセキュリティレベルを実現できます。しかし、導入には専門的な知識が必要であり、送受信者双方での設定が必須となるため、手軽さに欠けるというデメリットがあります。
パスワード別送による暫定対策の限界
PPAPの問題点を回避するために、パスワードをメール以外の手段(例えば、ビジネスチャットや電話)で伝えるという運用も考えられます。これにより、ファイルとパスワードが同じ経路で送られるという最大のリスクは回避できます。しかし、この方法も送信者の手間が増えるだけであり、根本的な解決にはなりません。また、受信側がパスワードを管理する手間も依然として残ります。
法人向けセキュリティ対策のあるファイル送信サービス
ファイル送信に特化したクラウドサービスを利用する方法です。送信者はサービス上にファイルをアップロードし、生成されたダウンロード用URLを受信者に通知します。多くのサービスでは、ダウンロード時のパスワード設定、有効期限の設定、ダウンロード回数の制限、アクセスログの確認など、セキュリティを強化するための機能が充実しています。手軽に導入でき、高いセキュリティを確保できるため、有効な選択肢の一つです。
法人向けクラウドストレージの活用が最適解
現在、最も多くの企業で採用されているのが、法人向けのクラウドストレージサービスを活用する方法です。ファイルをクラウドストレージにアップロードし、共有リンクを発行して相手に送るだけで、安全かつ効率的にファイルを共有できます。法人向けサービスは、個人向けサービスとは異なり、以下のような高度なセキュリティ機能と管理機能を備えています。
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アクセス権限の詳細な設定: フォルダやファイルごとに、閲覧、編集、ダウンロードなどの権限をユーザー単位で細かく設定できます。
操作ログの管理: いつ、誰が、どのファイルにアクセスしたかをすべて記録し、不正な操作を監視できます。
IPアドレス制限: 許可されたネットワークからのみアクセスを許可し、部外者の侵入を防ぎます。
二要素認証: IDとパスワードに加えて、スマートフォンアプリなどを利用した認証を必須とすることで、なりすましを防ぎます。
これらの機能を活用することで、PPAPが抱えるリスクを根本的に解決し、安全で効率的なファイル共有環境を構築することができます。
GigaCC ASPで実現する、安心で効率的なファイル共有
GigaCC ASPとは?
GigaCC ASPは、日本ワムネット株式会社が提供する、法人向けのクラウドストレージサービスです。20年以上の実績を持ち、多くの企業や官公庁で導入されています。高いセキュリティと豊富な管理機能を備え、脱PPAPの有力な選択肢として注目されています。
誤送信・漏えいを防ぐ仕組み
GigaCC ASPには、ファイル共有時のヒューマンエラーを防ぐための機能が充実しています。例えば、ファイル送信時に上長承認を必須とするワークフローを設定したり、送信先のドメインを制限したりすることで、誤送信のリスクを大幅に低減できます。また、共有ファイルのダウンロードURLを無効化する機能もあり、万が一誤った相手に送ってしまった場合でも、情報漏えいを未然に防ぐことが可能です。
段階的な導入と手厚いサポート体制
全社一斉に新しいシステムを導入するのが難しい場合でも、GigaCC ASPなら部署単位や特定のプロジェクト単位でのスモールスタートが可能です。また、導入時の設定支援や、利用者向けのトレーニングなど、手厚いサポート体制が整っているため、ITに不慣れな従業員でも安心して利用を開始できます。
PPAP対策まとめ
本記事では、PPAPが抱えるリスクと、なぜ今その対策が急務とされているのかについて解説しました。PPAPは、手軽さから広く普及しましたが、セキュリティ上の脆弱性や業務効率の低下など、多くの問題を抱えています。政府や大手企業の廃止宣言をきっかけに、社会全体で脱PPAPの動きが加速しており、安全な代替手段への移行は、もはや全ての企業にとって避けては通れない課題となっています。
代替手段の中でも、法人向けクラウドストレージは、高度なセキュリティ機能と管理機能を両立できる最も現実的な解決策です。本記事で紹介したGigaCC ASPのようなサービスを活用し、安全で効率的なファイル共有環境を構築することで、企業は情報漏えいのリスクから自社を守り、競争力を高めていくことができるでしょう。



