ファイル共有サービスとは何か?
ファイル共有サービスの定義と役割
ファイル共有サービスとは、インターネットを介してファイルを保管、共有、共同編集するクラウドベースのプラットフォームです。単なるファイル保存機能にとどまらず、セキュアな情報共有、業務効率化、コンプライアンス強化といった多岐にわたる役割を担います。市場調査によると、企業向けファイル同期・共有市場は2024年から2029年にかけて年平均成長率23.3%で成長すると予測されており、その重要性はますます高まっています。
従来のファイル共有手段との違い
従来のメール添付やUSBメモリ、オンプレミスのファイルサーバーと比較して、ファイル共有サービスはセキュリティ、コスト、利便性の全ての面で優位性を持ちます。以下の表は、各ファイル共有手段の特徴を比較したものです。
| 共有手段 | メール添付 | USBメモリ | オンプレミスサーバー | ファイル共有サービス |
|---|---|---|---|---|
| 容量制限 | あり(小) | あり(中) | なし | なし |
| セキュリティ | 低 | 低 | 中 | 高 |
| 初期投資 | なし | 低 | 高 | なし |
| 運用負荷 | 低 | 低 | 高 | 低 |
| アクセス管理 | 困難 | 困難 | 中程度 | 容易 |
| 監査機能 | なし | なし | 限定的 | 充実 |
なぜ法人利用でファイル共有サービスが今求められているのか
政府が2020年にPPAP(パスワード付きZIPファイルをメール送信する手法)の廃止を宣言して以降、多くの企業がより安全なファイル共有サービスへ移行を進めています。PPAPが廃止された理由は、複数の重大なセキュリティリスクにあります。
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PPAPの主なセキュリティリスク:
- 暗号化方式の脆弱性:ZipCrypto方式は現代のコンピュータで容易に解読可能
- パスワード送信の危険性:ファイルとパスワードが同一のメール経路で送信される
- マルウェアの温床:暗号化されたZIPファイルはセキュリティシステムが検査できず、マルウェア「Emotet」などの悪用の温床となった
こうした背景から、より堅牢で実用的なファイル共有サービスへの移行が急務となっています。
法人がファイル共有サービスを導入するメリット
共有のスピードと効率が飛躍的に向上する
ファイル共有サービスを利用すれば、ファイルの実体を送受信するのではなく、アクセスリンク(URL)を共有するだけで済みます。これにより、容量制限を気にすることなく、瞬時に大容量ファイルを相手に届けることが可能になります。
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実例:営業資料の共有プロセスの改善
従来のメール添付では、営業資料(50MB)を送信する際に容量制限に引っかかり、複数回に分けて送信する必要がありました。ファイル共有サービスを導入した企業では、共有リンク1本で対応でき、送信時間を大幅に削減できます。
また、複数人での共同編集機能を使えば、同じファイルに対して同時に作業を進めることができ、レビューや修正のやり取りにかかる時間を大幅に短縮できます。このスピードと効率の向上は、ビジネスの意思決定を加速させ、市場の変化に迅速に対応する力となります。
場所・時間を問わないアクセスとリモートワーク対応
現代のビジネス環境において、リモートワークや出張、グローバルな拠点間での連携は日常的な光景です。ファイル共有サービスは、インターネット環境さえあれば、PC、スマートフォン、タブレットなど、あらゆるデバイスから必要なファイルに安全にアクセスできる環境を提供します。
これにより、従業員はオフィスに縛られることなく、自宅や外出先、海外拠点からでも円滑に業務を遂行できます。これは、多様な働き方を支援し、優秀な人材を確保・維持する上でも重要な要素となります。
コスト削減および運用負荷の軽減
自社でファイルサーバーを構築・運用する場合、以下のようなコストと負荷が発生します。
- 初期投資:サーバー機器の購入費用、設置場所の確保、ソフトウェアのライセンス費用
- 運用コスト:サーバーの維持管理、セキュリティパッチの適用、バックアップ、障害対応
- 人的負荷:専門知識を持つ情報システム部門の継続的な対応
ファイル共有サービスを利用すれば、これらのハードウェア資産や運用業務をサービス提供事業者にアウトソースできます。これにより、企業は初期投資を抑えつつ、月額利用料という変動費でサービスを利用できるため、ITコストの最適化が図れます。
情報漏えい・誤共有リスクを仕組みで低減できる
法人向けサービスは、多層的なセキュリティ対策を提供します。
- アクセスURLへの有効期限設定:共有リンクの有効期限を設定し、期限後は自動的にアクセス不可
- パスワード保護:共有リンクにパスワードを設定
- ダウンロード回数制限:ファイルのダウンロード回数を制限
- 詳細なログ記録:誰がいつダウンロードしたかを記録
- 上長承認機能:重要なファイルの共有前に適切なチェック
USBメモリの紛失やメール誤送信といったヒューマンエラーを仕組みで防ぎ、情報漏えいリスクを大幅に低減させることができます。

ファイル共有サービスにおける主なセキュリティ要件
通信・保存時の暗号化および安全なインフラ
ファイル共有サービスにおける暗号化は、「通信経路の暗号化」と「保存データの暗号化」の2つの側面で考える必要があります。
- 通信経路の暗号化:TLS/SSLといったプロトコルで暗号化されていることが必須
- 保存データの暗号化:AES-256などの強力な暗号化方式で暗号化
これにより、万が一データセンターから物理的にストレージが盗まれたとしても、中身を読み取られることを防ぎます。加えて、サービスが稼働しているデータセンターの物理的なセキュリティや、災害対策(冗長化構成など)が十分に講じられているか、といったインフラの安全性も確認すべきポイントです。
関連記事: 大容量ファイル送信サービスは安全?業務で利用する場合の注意点をご紹介!
アクセス制御・権限管理・多要素認証
誰がどの情報にアクセスできるのかを厳格に管理することは、内部不正や意図しない情報漏えいを防ぐ上で不可欠です。フォルダやファイル単位で、以下のようなきめ細かなアクセス権限を設定できる機能が求められます。
- 閲覧のみ:ファイルの内容を見ることのみ可能
- 編集可能:ファイルの内容を編集・上書き可能
- ダウンロード不可:ファイルの内容を見ることは可能だが、ダウンロード不可
- アップロードのみ:新しいファイルをアップロードすることのみ可能
また、IDとパスワードだけに頼る認証は、パスワード漏えいのリスクが常に伴います。これに対し、SMSや認証アプリなどを組み合わせる多要素認証は、不正アクセスに対する非常に有効な防御策となります。特に管理者アカウントには必須の機能と言えるでしょう。
共有履歴・ログ管理・監査証跡機能
「いつ、誰が、どのファイルに、何をしたか」を正確に記録・追跡できることは、企業のガバナンスとコンプライアンスを維持する上で極めて重要です。詳細な操作ログが記録されていれば、万が一情報漏えいの疑いが生じた際に、迅速に原因を調査し、影響範囲を特定することができます。
また、定期的にログを監査することで、不審なアクセスや不正な操作の兆候を早期に発見し、インシデントを未然に防ぐことにも繋がります。
共同編集・バージョン管理・ファイル改ざん防止
セキュリティは、情報の機密性(漏えいしないこと)だけでなく、完全性(改ざんされないこと)と可用性(必要な時に使えること)も確保する必要があります。ファイルが編集されるたびに、自動的に過去のバージョンが保存される機能があれば、誤って上書きしてしまった場合でも、以前の状態に簡単に復元することができます。これにより、ファイルの改ざんを防ぎ、データの完全性を確保できます。
ファイル共有サービスを選ぶ際の比較ポイント
必要な保存容量と1ファイルあたりの上限サイズをチェック
まず確認すべきは、自社の業務で扱うファイルの量とサイズに見合った容量プランがあるかという点です。全社で利用する場合、数テラバイト(TB)単位の保存容量が必要になることも珍しくありません。また、設計業界や映像業界など、日常的にギガバイト(GB)単位の大容量ファイルを扱う場合は、1ファイルあたりのアップロード上限サイズも重要な選定基準となります。
多くのサービスでは、料金プランによって保存容量や上限サイズが異なります。将来的なデータ量の増加も見越して、拡張性のあるプランを提供しているかどうかも確認しておきましょう。
関連記事: 法人が選ぶべきファイル送信サービスとは?無料サービスとの違いとチェックポイントを解説
社内外ユーザーとの共有方法・操作性は直感的か
ファイル共有サービスは、情報システム部門の専門家だけでなく、ITに不慣れな従業員や社外の取引先も利用します。そのため、誰にとっても直感的で分かりやすい操作性(UI/UX)は、サービスの利用定着と業務効率に大きく影響します。
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確認すべきポイント:
- パスワード設定、有効期限、ダウンロード回数制限など、セキュリティを担保した上で簡単に共有リンクを発行できるか
- 取引先など社外のユーザーを特定のフォルダに限定して招待し、共同作業ができるか
- メールに添付できないような大容量ファイルを相手に負担をかけずに送れる専用の機能があるか
ファイルごとのアクセス権限を細かく設定できるか
法人の情報資産を守るためには、従業員や部署、役職に応じて、アクセスできる情報の範囲を厳格にコントロールする必要があります。「オーナー」「編集者」「閲覧者(ダウンロード可)」「閲覧者(ダウンロード不可)」「アップロードのみ」など、役割に応じて権限を細かく設定できるサービスであれば、最小権限の原則を実現しやすくなります。
また、管理者向けの機能として、全ユーザーの利用状況を一覧で把握したり、一括で設定を変更したりできる管理コンソールの使いやすさも重要な比較ポイントです。
共有状況を把握できるログ・監査証跡があるか
前述の通り、ログ管理は企業のガバナンス強化に不可欠です。しかし、単にログが取得できるだけでなく、「どのような情報が」「どのくらいの期間」「どのような形式で」取得できるかが重要になります。
ログ管理で確認すべき項目:
| 項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 記録内容 | 「誰が」「いつ」「どのIPアドレスから」「どのファイルに対して」「何をしたか(ダウンロード、削除、権限変更など)」が記録されるか |
| 保存期間 | 法規制や社内規定で定められた期間、ログを確実に保存できるか |
| 検索・出力機能 | 特定のユーザーや期間でログを簡単に検索したり、監査対応のためにCSV形式などで出力したりできるか |
料金体系が自社の利用ボリュームに合っているか
料金体系は、主に「ユーザー数課金」と「容量課金」の2種類があります。利用する従業員数が多い場合は容量課金、データ量は少ないが利用者が多い場合はユーザー数課金が適しているなど、自社の利用実態に合わせてコスト効率の良いプランを選ぶことが重要です。
また、見かけの料金だけでなく、初期費用やオプション機能の有無も確認しましょう。さらに、見落としがちですが非常に重要なのがサポート体制です。導入時の設定支援や操作方法に関する問い合わせ、万が一のトラブル発生時に、迅速かつ的確なサポートを受けられるかは、サービスの安定運用に直結します。
特に法人利用では、電話やメールでの日本語サポートが提供されているか、対応時間は自社の業務時間に合っているか、といった点を必ず確認すべきです。
導入・運用フェーズにおける注意点と落とし穴
無料サービス・個人向けサービスを法人用途に流用するリスク
コストを抑えたいという理由から、無料で利用できる個人向けのファイル共有サービスを業務に利用してしまうケースが見受けられます。しかし、これはセキュリティとガバナンスの観点から極めて危険です。
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個人向けサービスの主な問題点:
- 利用規約で商用利用が禁止されている
- 管理者が従業員のアカウントを一元管理できない
- 利用状況を監査できない
- アクセスログが取得できない
- IPアドレス制限や多要素認証といった高度なセキュリティ機能がない
さらに、カントリーリスクも重要な懸念事項です。海外リージョンを利用するクラウドサービスや、提供事業者に海外企業が関与している場合、現地法規制や情報開示義務、ガバナンスリスクが懸念され、こうしたリスクを避けたい企業が増えています。
シャドーIT(企業が許可していないIT機器やサービスの利用)の温床となり、情報漏えいの重大な原因となりかねません。企業の情報資産を守るためには、必ず法人向けのサービスを選定し、全社で統一したルールのもとで運用することが鉄則です。
ユーザー教育・社内運用ルール整備の重要性
高機能なサービスを導入しても、それを使う従業員がルールを守らなければ意味がありません。サービス導入と同時に、全社で遵守すべき明確な運用ルールを策定し、周知徹底することが不可欠です。
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策定すべき運用ルール:
- フォルダ構成のルール:部署やプロジェクト単位での命名規則や階層構造
- 権限管理のプロセス:新入社員の追加、退職者の削除、部署異動に伴う権限変更
- 共有リンクのルール:社外とファイルを共有する際の申請・承認プロセス、パスワード設定・有効期限のルール
- セキュリティ教育:従業員一人ひとりのセキュリティ意識を高めるための教育プログラム
データのライフサイクル対応の欠如によるリスク
ファイル共有サービスの導入時には、データのライフサイクル管理も重要な検討項目です。不要になったファイルの適切な削除、機密情報の保持期間の設定、退職者のアカウント削除と関連ファイルへのアクセス権限の剥奪など、データの生成から廃棄までの全プロセスを管理する必要があります。
これらの対応が欠如すると、過去の機密情報が無期限に保存され続けたり、退職者が社内情報にアクセスできたりといったリスクが生じます。サービス導入時には、こうしたライフサイクル管理の仕組みが整備されているか、また自社の運用ルールとして定められているかを確認することが重要です。
「GigaCC ASP」で実現する"安全+効率"なファイル共有
GigaCC ASPとは?
日本ワムネットが提供する「GigaCC ASP」は、20年以上の実績を持つ純国産の法人向けファイル共有・転送サービスです。日本国内のデータセンターで運用され、開発からサポートまで全て日本国内のスタッフが対応しており、電話やメールでの迅速な対応と、お客様の声を製品開発に反映させた継続的な改善が大きな強みです。企業のセキュリティ要件と業務効率の両立を実現するために、多くの法人から信頼されています。
関連記事: GigaCCの「ファイル送信機能」と「ファイル共有機能」その特長と使い分け方法
アクセス制御・誤共有防止・ログ取得など強みのセキュリティ機能
GigaCC ASPは、本記事で解説したセキュリティ要件を網羅的に実装しています。
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GigaCC ASPの主なセキュリティ機能:
- 通信暗号化:最新のTLSプロトコルによる通信暗号化
- ファイル暗号化:AES-256によるファイル暗号化
- ウイルススキャン:ファイルアップロード時の自動ウイルススキャン
- 誤送信防止:上長承認機能による誤送信防止
- 多要素認証:多要素認証対応
- 履歴ログ・証跡管理:利用者・管理者のすべてアクションの詳細な履歴ログの取得、実際に送信・共有されたファイルを別領域に保管可能(オプション)(最大1年間保存可能)
- 権限設定:管理権限とディレクトリ権限による多段階のアクセス権限設定
これらの機能により、PPAPの代替はもちろん、重要な情報資産をあらゆる脅威から保護します。
モバイル・直感的UIによる現場浸透と利便性
セキュリティだけでなく、業務効率を向上させるための使いやすさもGigaCC ASPの大きな特徴です。ドラッグ&ドロップによる簡単なファイルアップロードや、直感的なフォルダ管理画面など、ITに不慣れな方でもマニュアルなしで使える操作性を実現しています。
特に、社外とのファイル共有を安全かつ効率的に行うための機能が充実しており、最大100GBの大容量ファイルを一度に送信可能で、送信先ごとにパスワードを自動発行し、セキュアにファイルを届けます。モバイルデバイスからのアクセスも容易で、営業担当者や外出中の従業員も効率的に業務を進められます。
導入支援・運用サポートが充実
GigaCC ASPは、日本国内のデータセンターで運用されており、開発からサポートまで全て日本国内のスタッフが対応しています。海外サービスにありがちな時差や言語の壁がなく、導入前のコンサルティングから導入後の運用サポートまで、お客様の状況に合わせたきめ細やかな支援を提供できるのが大きな強みです。
電話やメールでの迅速な対応はもちろん、お客様の声をダイレクトに製品開発に反映させることで、日本のビジネス慣習に合った機能改善を継続的に行っています。
まとめ
法人向けファイル共有サービスは、単なるコスト削減や効率化ツールにとどまり、企業の貴重な情報資産を守り、多様な働き方を支え、ビジネスの成長を加速させる戦略的なIT投資です。特に今日の企業をめぐるセキュリティ環境を鑑みると、ファイル共有サービスの選定と運用は、企業の情報ガバナンスを実現し、コンプライアンスを維持する上で不可欠な要素となっています。
無料の個人向けサービスやPPAPといった旧来のファイル共有手段は、重大なセキュリティリスクを内包しており、もはや許容されるものではありません。自社の事業規模や業務内容、セキュリティポリシーに合致した法人向けサービスを選定し、明確なルールのもとで全社的に運用していくことが不可欠です。本記事で紹介した比較ポイントを参考に、複数のサービスを慣習的に比較検討し、自社に最適なパートナーを見つけることをおすすめします。最適なサービスの導入を通じて、企業全体の情報セキュリティ水準を向上させ、ビジネスの競争力を強化していくことを期待しております。




