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Dr.スギヌマのITランダム・ウォーカー:運転しないと、乗り心地が気になる!
Dr.スギヌマのITランダム・ウォーカー:運転しないと、乗り心地が気になる!


自動運転は、過疎地での交通維持や都市部での渋滞緩和に大いに期待されている技術だ。自動運転時代を睨んだ都市設計や交通システム設計を論ずる「ITS世界会議2018」(写真1)を訪れてきた。自転車の街コペンハーゲン(デンマーク)で開催された会議では、世界各地の自動運転の実験状況が報告された。会場では、いくつかの自動運転車両のデモ走行も行われていた。果たして、その乗り心地は?

「ITS世界会議2018」の会場となった、Bella Center。展示会とあわせて、1万人以上が参加した【写真1】「ITS世界会議2018」の会場となった、Bella Center。展示会とあわせて、1万人以上が参加した。

自転車の街、コペンハーゲン

 デンマークの首都コペンハーゲンと言えば、「人魚姫の像」で有名だ(写真2)。その像のサイズや置かれた場所について、いろいろな声があるのは承知しているが、やはり見てみたい。駅から真っ暗な道を歩くこと10分余り、暗がりの中で像と対面した。

有名な人魚姫の像。特に照明が当てられることもなく、ひっそりとたたずんでいた。(超高感度のため、白黒で撮影)【写真2】有名な人魚姫の像。特に照明が当てられることもなく、ひっそりとたたずんでいた。(超高感度のため、白黒で撮影)

 いや、今回の旅行は、人魚姫の像が目的ではない。交通システムの高度化(知能化)を議論する「ITS世界会議2018」への参加が目的だ。ITSとはIntelligent Transport Systemsを意味し、IT支援による交通の高度化を指す幅の広い用語だ。道路のIT化だけが話題ではない。最近は、スマートシティといった都市計画全体が話題となっており、交通の視点から都市をいかに設計するかの議論がされている。

 ITS世界会議は、毎年開催されるイベントで、開催地は欧州、アジア大洋州、米州の3地域を回っている。昨年は、カナダ・モントリオール、一昨年はオーストラリア・メルボルンだった。世界の交通関係者、特に道路と自動車関係者が集まる。

 今年の開催地、コペンハーゲンは「自転車の街」であると昨年、一昨年の世界会議で紹介されていた。街を自転車利用に向けて改造し、自動車の利用を抑えることに成功したという。脱自動車を指向した都市が自動車関係者が多いイベントのホスト都市を務めるというのは、時代の変化を感じさせる。

 会議では、コペンハーゲンの市幹部が「通勤・通学時の移動の42%が自転車で行われている」と発表していた(市長の1人(同市は担当分野毎に市長が任命されている)は60%との数字を示した。人によって値が異なる)。朝、街を歩くと、大きな道路では自転車が4列になって走っていた(写真3)。

「自転車通勤・通学の街」コペンハーゲンは、朝の自転車ラッシュはすごい。4列で走っても接触しないのであるから、自転車の運転テクニックも優れているようだ。吊された照明は、メッシュネットワークを形成している【写真3】「自転車通勤・通学の街」コペンハーゲンは、朝の自転車ラッシュはすごい。4列で走っても接触しないのであるから、自転車の運転テクニックも優れているようだ。吊された照明は、メッシュネットワークを形成している。

 コペンハーゲン市は、自転車向けITSも開発している。レーダー付き街灯が直下を見張り、自転車の通過を検出すると進行方向の交差点にある街灯に情報を送る。交差点の街灯は、自転車の到着に併せて光量を上げて、交差点の安全を確保するという。街灯間はWi-SUNでメッシュネットワークを形成しており、新たな有線インフラは不要だ。

来場者を運ぶ

 ITS世界会議では、自動運転車両も「実戦投入」された。会場となったBella Centerの敷地は広く、地下鉄の駅に隣接したゲートから会議場まではそこそこ距離があった。ここで、デモを兼ねて来場者の輸送にあたったのが、仏Navya社製の自動運転バス(11人乗り)である。これまで、ITS世界会議で自動運転車両のデモはなされたが、通常の足として使われたのは今回が初めてだ。

 往復約850mのコースは、角を曲がるだけの単純なルートに見えるが、実は難しさを秘めている。まず、車寄せから歩道に乗り上げて隣の車寄せに入る箇所がある。ルート中に横断歩道もある(写真4)。そして何より、車道と歩道の境界が不明確で歩行者と交錯する場所がある(写真5)。これは、かなり難易度が高い運用と言える。横断歩道での挙動を観察したが、渡る人を見つけると警笛を鳴らして停車していた。しっかりと人を見つけているようだ。一方、車の後ろを走って追いかけてみたが、取り立て変化はなかった。後方は余り気にしていない模様だ。

横断歩道に接近する自動運転車両。渡る人を見つけると、軽く警笛を鳴らした後に停車していた【写真4】横断歩道に接近する自動運転車両。渡る人を見つけると、軽く警笛を鳴らした後に停車していた。

車道と歩道の区分が不明確な場所もコースの中にあった。ここでは、容易に歩行者が車に近づくことができる。歩行者の動きを厳重に見張らなければならない箇所と言えるだろう【写真5】車道と歩道の区分が不明確な場所もコースの中にあった。ここでは、容易に歩行者が車に近づくことができる。歩行者の動きを厳重に見張らなければならない箇所と言えるだろう。

 欧州の自動運転バスが11人乗りなのは、認証制度に理由があるそうだ。乗客11人までは簡易な認証で済むという。マイクロバス的なものだろうか。今回は、セーフティ・ドライバー(非常時対応の監視役)は立って乗車しているが、乗客は全員着席して最大8人で運用していたようだ。

 車に乗せてもらったが、加減速感があってなかなか楽しい。いかにも「急いで運んでいる」との感がある。

教育が必要

 監視役は、自動運転車両の運用企業であるAutonomous Mobility社(デンマーク)のスタッフだった。この車にコースを教えるのに掛かった時間を尋ねると「3日間」とのことであった。850mのコースに3日掛かったわけだ。何度も走らせて、周囲の物体を記憶させたのであろう。

 自動運転というと、指示した場所に自動的に走り出す印象が強いが、現時点では精密な地図が必要だ。精密な地図があってもなお、走り方は人間が教えているのが大半だ。もちろん、教わった後は車は自ら走ってゆく。通常目にするのは、この段階だ。厳しい教育期間は、見えないのだ。

今回の会場のように、地図が用意されていない場合は、人手で照合(教育)作業が必要となる。今回も、どこが道路か、縁石はどのようにセンサーに映るか、横断歩道はどこか、といった事を細かに教えたに違いない。

乗り心地が気になる

 今回、乗用車タイプの自動運転車両(Navya社製:写真6)もデモされていた。こちらは、対面座席で6人乗りだ。ゲートから会場までの輸送用だったバス(このような形の乗り物はポッドと表記されていた)は、固いプラスチックの座席だったのに対して、乗用車タイプは、革張りの柔らかいシートだった。

運輸オペレータ事業者である仏Keolis社がNavya社の乗用車型車輌でデモを行っていた。この車両15台を用いて、仏Lyon市にてタクシー型のサービスを行うとしている【写真6】運輸オペレータ事業者である仏Keolis社がNavya社の乗用車型車輌でデモを行っていた。この車両15台を用いて、仏Lyon市にてタクシー型のサービスを行うとしている。

 こちらの車では、駐車場での簡単な自動走行デモがなされただけであるが、乗り心地について考えさせられてしまった。シートが柔らかく、安定感がある車の方が、乗り心地が気になることに気がついた。固い座席のポッドでは気にならなかった加減速の息継ぎや車の揺れ、傾きが気になるのだ。同じ会社の製品だけに、同様な制御方式を取っているだろう。なのに、片方では気にならず、もう片方では気になる。不思議なことだ。

 先日、専門誌(IEEE Intelligent Transportation Systems Magazine Vo.10 No.1)の表紙に「自動運転車両の乗り心地(Automated Vehicle Riding Comfort)」との記載があった。乗り心地のための速度制御を論じた記事への誘導だったが、自動運転でも乗り心地を考えなければならないだろう。この記事では速度のみを論じていたが、他にも乗り心地に関する要素はある。心地よい自動運転車実現のためには、複数の要素を同時に考える必要があるだろう。

 そういえば、自転車に乗っていた時、乗り心地は全く気にならなかった。他に気にすることがあると、乗り心地は関係ないようだ。自動運転となって、運転に気を使わなくなると、今以上に人は乗り心地に敏感になるのかも知れない。

ライタープロフィール

杉沼浩司(すぎぬま こうじ)
日本大学生産工学部 講師(非常勤)/映像新聞 論説委員
カリフォルニア大学アーバイン校Ph.D.(電気・計算機工学)
いくつかの起業の後、ソニー(株)にて研究開発を担当。現在は、旅する計算機屋として活動中。

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