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Dr.スギヌマのITランダム・ウォーカー:ICカードで財布は薄くなるか
Dr.スギヌマのITランダム・ウォーカー:ICカードで財布は薄くなるか


コンピュータグラフィックスと対話型技術の学会「SIGGRAPH ASIA2017」に参加するため、タイ王国バンコクに旅行した。夏に開催されるSIGGRAPHは、北米の都市を巡回している。アジアで冬に開催されるSIGGRAPH ASIAは、アジア各国を回っている。これまで、最も西で開催されたのはマカオだったが、今回は新記録である。歴史あるタイに心躍らせつつ南に向かった。そこで待っていたのは、微笑みと多様なICカードサービスだった。

初のタイ開催

 コンピュータグラフィックスの学会として1974年に始まったSIGGRAPHは、北半球の夏季に開催され全米の各都市を巡回した。最初にSIGGRAPHに参加した1984年、開催地はミネアポリス(ミネソタ州)だった。当時、スーパーコンピュータ・メーカーとして名を馳せていたCray Researchが近くにあり、見学に訪れた記憶がある。その後、SIGGRAPHは、冬季にアジアで開催されるようになった。多くの優れた論文が集まり、夏だけでは発表の機会が足りなくなったため、冬季の開催を決めたという。また、アジアで開催するのはビザ取得に時間が掛かるアジアの国々の人達に配慮したため、とされている。SIGGRAPH ASIAは、夏のSIGGRAPHの「アジア版」ではなく、「アジアで開催されるSIGGRAPH」であり、発表される研究論文の質は変わらない(写真1)

00005_image01.jpg【写真1】バンコクで開催されたSIGGRAPH ASIA 2017は、世界各地から6500人以上の参加者を得た

 今年のSIGGRAPH ASIAは、タイのバンコクで開催された。「冬季」のイベントと言っても、それは北米基準であり、季節分けは適当で無いかも知れない。訪問中気温は30℃を越えており、気分的には十分に「夏季」だった。

Rabbitカード

 SIGGRAPH ASIAは、バンコク中心街からやや離れたBang Na区にあるバンコク国際貿易展示センター(BITEC)で開催された。バンコク・スカイトレイン(BTS)のバンナー(Bang Na)駅から徒歩数分である。日本で地図ソフトで調べたときは、正門への経路が表示され「駅から14分」とのことだった。行ってみれば、3分もかからずに到達できたのは幸いだった。ちなみに、日本で閲覧した現地の日本語情報サイトには「バンナー駅に直結したビルが完成」とあった。SIGGRAPH ASIAは、このビル内で開催されたが、ビルと駅の接続はまだ工事中で、完成までには数ヶ月かかりそうだった。それでも、展示会場と駅が専用通路で結ばれるのは素晴らしい。アクセスを改善しようという努力に頭が下がる(写真2)

00005_image02.jpg【写真2】スカイトレイン(BTS)の駅とバンコク国際貿易展示センター(BITEC)の間を直結する通路の建設が進んでいた

 BTSは、「スカイトレイン」と称するだけに、高架鉄道である。鉄骨組みの高架線ではなく、コンクリート製の構造物で支えるガッシリしたものだ。幹線道路の真ん中に支柱を立てて、その上に線路を通した、といった感じである。BTSの駅で見ていると、自動販売機に列ができているが、ICカードもあるようだ。出札口でICカードを購入した。「Rabbitカード」との名前でデポジットは100バーツだった。

一瞬で貯まるカード

 ICカードを入手してから、本場のタイ料理に挑戦、とショッピングセンターのフードコートに立ち寄った。フードコートは、前金制で、先にカードを買うようになっていた。お店は現金を扱わないことになっているようだ。

 カウンターでお金を出すと、カードが渡された。見るとICカードである。このカードでは、デポジットは徴収されなかった。お店で料理を選ぶと、「カードを渡すように」と身振りされる。日本の、自分でカードをリーダーに当てる動作に慣れていたからボッとしていたのかも知れない。調理をしているお店の人とカードを介して間接的な接触が生ずることに疑問を感じつつも、素直にカードを渡した。

 翌日、BITECのフードコートに行くと、ここも「カードチャージ型」の会計だった。こちらは、磁気カードだが、会計のやり方は同じ。店員さんがカードリーダーにカードを通すのも同じである。違うのはカードだけだ。

 ショッピングセンターのフードコートでは、BTSのRabbitカードも一部で使えるようだ。Rabbitカードにクーポンを付ける発行機もBTS駅構内にあった。これに気付いていれば、Rabbitカードだけで過ごしたのに。

 結局、到着後24時間でカードは4枚になった。ホテルのルームキー(ICカード)、BTSのICカード、ショッピングセンターのICカード、そしてBITECの磁気カードだ(写真3)

00005_image03.jpg【写真3】到着後24時間で手持ちカードは4枚に。
左上から時計回りに、BITECフードコート、ホテルICカード、BTS用Rabbitカード、ショッピングセンターのフードコート用ICカード。

新カードに移行中

 現地の知人に聞くと、新しい「メンムムカード(Mangmoom Card)」というICカードが運用を開始したという。BTSと他の公共交通機関で相互に使えなかったICカードを統合するものだそうで、10月1日に利用開始となった。全国的に利用可能なカードになるという。日本でも、交通系ICカードが導入された頃、JRと民鉄(私鉄)の間では相互に利用ができなかった。各地域のJR同士であっても相互利用ができるようになるには時間が掛かったから、このような統一へ進むのは理解できる。

00005_image04.jpg ただ、よく分からない点もある。バンコクの場合10月1日のメンムムカード利用開始時は、すべての公共交通機関のすべての駅で使えるわけではなく、装置の相互運用性が確認できたところから運用開始、とのことだった(写真4)
BTSでも、他の公共鉄道との乗換駅でのみ利用できるとされていた。これは、ICカードが異なる規格のものに変更になった可能性を感じさせる。同じ規格なら、ソフト的な処理で運用範囲の拡大は可能であると思われる。JRと民鉄の間でのICカード運用は、別のカードに切替えたり、改札機を交換したりしなかったからだ。ラビットカードは蘭NXP社のシステムを基にしているというから、ISO/IEC14443 Type Aであろう。地下鉄(MRT)は、FeliCa方式だ。今度は、何に切り替わったのだろうか。

【写真4】BTSの駅構内では、Rabbitカードの広告は見られたが、Mangmoomカードについては見当たらなかった



せっかく電子化したのだから

00005_image05.jpg ICカードによる電子マネーは確かに便利だが、旅行先毎にカードを買ったり、ましてやフードコート毎にICカードを買うのは大変に煩雑だ。これをなんとかまとめることはできないのだろうか。

 物理的な方式が極端に違うと難しいが、幸いに非接触ICカードの通信方式は原理はほぼ同じだ。業界団体のNFCフォーラムは、NFC-A(前出のISO/IEC14443 Type AおよびISO/IEC18092)、NFC-B(同 Type B)、NFC-F(ISO/IEC18092)という3つのNFC用通信技術を規定している。最近はこの3つに対応したリーダー/ライター用半導体も製品化されている。より広い相互運用性を考えれば、読み書きする機器をNFC用、つまり3方式対応に切り替える、ということも考えられる。

【写真5】スカイトレインの列車には「お坊さん優先席」が設定されていた

 機器はともかく、サービスについて、利用者はもっともっと要求したいことがあるだろう。もし、日本のICカードと通信規格上の互換性があるなら、どうして日本円でチャージしたカードを、海外で使用(交通機関や買い物で使う)したいと感じるに違いない。現地通貨でチャージした場合、自国に戻ったときそのチャージ分を自国通貨で使えないのだろうか。海外のICカード利用者も同じ思いだろう。

 もちろん、ここには法規制上の問題がある。だが、スマートフォンに取り付けた決裁機能で世界的に利用を広げている方式もある。これらの運営企業が、圧倒的な資金力と国際展開力で、国をまたいだサービスを行うかも知れない。今の通貨で国をまたぐのが難しくても、仮想通貨などを「中間通貨」としてこれに変換し運用することも考えられる。物理媒体のICカードが、このようなサービス向上策に動けなければ、強力な運営企業がスマートフォンで展開する電子決済サービスに対しては不利になりそうだ。

 ICカードを何枚も持つのは、利用者にとって不便だ。電子的には様々な情報に対応しているのであるから、もっと障壁を下げる方向に動かせるのではないだろうか。1週間で貯まったICカードを眺めながら考えてしまった。

ライタープロフィール

杉沼浩司(すぎぬま こうじ)
日本大学生産工学部 講師(非常勤)/映像新聞 論説委員
カリフォルニア大学アーバイン校Ph.D.(電気・計算機工学)
いくつかの起業の後、ソニー(株)にて研究開発を担当。現在は、旅する計算機屋として活動中。

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